ミロシュ・フォアマン(監督) 


December 19, 2000                        


ミロシュ・フォアマンの写真

僕が初めて観たこの人の監督作品は、『アマデウス』(1984)でした。いや〜これはもうものすごい傑作で、’80年代を代表する1本といっても過言ではないでしょう。新しいモーツァルト像というと陳腐に聞こえますが、むしろサリエリの視点から描かれたこの一篇は、殺したいほど憎いのになぜか心を惹かれるという、偉大なる天才と同じ時代・同じ場所で生きなければならなかった凡庸な宮廷音楽家の複雑な人間心理を細かに表現しただけではなく、美術・衣装・音楽といった点でも後世に残しておきたい傑作です。2時間40分というのは、現在ならともかく当時としては異例の長さで、僕も正直観に行くのが嫌だったのだけれど、観終わったときには呆然としてしばらく席を立つことが出来ませんでした。音響設備の整った大劇場で見てみたい気もしますが、まさかリヴァイヴァル上映はないでしょう。ちなみに僕はDVDを所有しています(^^)。

そして今年の夏に『マン・オン・ザ・ムーン』(1999)を観てきました。これはかなりの期待を寄せて観に行ったのですが、残念ながらそれほど上等な出来ではなかったようです。伝説のコメディアン、アンディ・カフマンに扮したジム・キャリーの演技は圧巻でしたが、『アマデウス』で見せたような濃密な人間描写・心理描写は見受けられず、ただ単にアンディの一生を追っただけという感じがしました。かえってヴィデオで見た『ラリー・フリント』(1996)の方が良かったような気がしましたね。すくなくともコートニー・ラヴは――彼女はどちらの作品でも重要な役を演じているのだけれど――こちらの作品の方がいい演技をしてました。

他に僕が見たのは、『カッコーの巣の上で』(1975)です。この作品は、リュック・ベッソンをして「こんな素晴らしい映画があるのなら自分が映画監督になってもしょうがないんじゃないか」と言わしめた作品らしいです。たしかに良くできた作品ですが、そこまで絶賛するほどのものでもないんじゃないかと思います。精神病院ものなら、最近観た『17歳のカルテ』の方が良かったですけどね、僕は。

ところでミロシュ・フォアマンはチェコからアメリカに来た映画監督なのですね。寡作な人ですから、じっくり時間をかけて、次回は素晴らしい作品を作ってほしいと思います。




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