リンゼイ・ワグナー 


March 12,1987

リンゼイ・ワグナーの写真 リンゼイ・ワグナーからの手紙

左上のポートレイトは、大きさがだいたいポストカードの3分の2くらいで、右上の文章はそのポートレイトの裏側に書いてあったものです。ところで、こういう直筆のサインや文章を見る度に思うのが、果たしてこれは本人が実際に書いたものなのか、それともちゃんと代筆のアルバイトか何かそういう雑務をこなす人がいて、その人が代わりに書いているのか、ということ。僕はその両方のパターンがあるのではないだろうかと推察しているのだけれど、実際のところはどうなんでしょうね? といってもそんなこと知ってる人はいないか。エージェントかスターのマネージャーくらいでしょう、知ってるのは。

リンゼイ・ワグナーについては、実は僕は映画は1本も見ていません。夕方の4時くらいから──恐らく再放送だと思うのだけれど──やっていた『バイオニック・ジェミー』というTVシリーズを見ただけです。「スクリーン」や「ロードショー」などの映画雑誌を毎月買ってチェックしていたけれど、彼女が映画に出演している形跡は(少なくとも日本公開作の中には)なかったと思う。

『バイオニック・ジェミー』に関しても、僕の記憶はチベットのミイラのようにほとんど風化しつつあるのだけれど、たしかいざという時だけに超人的な能力を発揮する女性の話ではなかったか、と思う。とにかくそこそこ面白くて暇つぶしに──という言い方はいささか失礼だが──寝転がって見ているぶんには楽しめた。この頃はそういったアメリカ製の1時間(あるいは30分)ドラマがいろいろ放映されていて、たとえば『スター・トレック』だの『超人ハルク』だの『奥様は魔女』といったものだが、どれもけっこう楽しんで見ていた記憶がある。日曜日の昼、居間で家族そろって『スター・トレック』を見ながら焼き立てのトーストと紅茶を食する、といった平穏な日々の記憶が頭のどこかに引っかかっている。

話はどんどんリンゼイ・ワグナーから離れていってしまって申し訳ないが、僕がいちばん好きだったテレビ・ドラマは何といっても『奥様は魔女』であった。エリザベス・モンゴメリー演じる魔女のサマンサがとってもキュートで、サマンサの母親とダーリンとのやり取りがいつも皮肉に満ちていて、とっても愉快だった。仕事の上司のラリーや、隣の家の奥さんまで、出てくる人がみなユニークなパーソナリティの持ち主で、ストーリーも良くできていたと思う。日本語の吹き替えがまたうまくって、僕はいつもこの番組の時間を楽しみにしていた。サマンサとダーリンがあんまりひんぱんにキスするので、一緒に見ていた両親が、「アメリカではこれが普通なんだよ」とやや赤面しながら説明したことも憶えている。1960年代か、あるいは70年代かははっきりとは憶えていないけれど、その頃のアメリカの理想化された家庭像を見て、僕も将来こんな明るい家庭を築くんだ、などと子供心に思っていたのだから、今考えるとちょっと恥ずかしい。後年、あのチャーミングだったサマンサ(エリザベス・モンゴメリー)が、ロッテ・マザー・ビスケットという日本のCMに出演して、すっかり皺の増えた笑顔で「お母さんの味よ」と言うのを見た時には泣けてしまいましたよ、ホント。年月──あるいはテレビ局──というのは残酷なものだなあ、としみじみと実感した。

リンゼイ・ワグナーですが、その後とくにTVシリーズや映画に出演したという話は聞かないので、ちょっと残念です。でも、上のポートレイトを見る度に、僕は自分の子供時代のことを懐かしく思い出してしまうのである。

          


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