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| May 16,1983 | ||||
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クリント・イーストウッドも実にたくさんの映画に出演していますよね。俳優としての映画出演は1950年代からで、注目され始めたのがテレビの『ローハイド』シリーズ(1959〜63)らしいけれど、僕は聞いたことがあるだけで実際には見ていないです。その後、『荒野の用心棒』(1964)──これはヴィデオを借りて見たけど、個人的には今イチでした──、『夕陽のガンマン』(1965)あたりで、西部劇俳優としての地位を固めていく。この頃の経験が、のちに彼自身が監督・主演する『ペイルライダー』(1985)や『許されざる者』(1992)──彼はこの作品でアカデミー主演男優賞と監督賞にノミネートされ、監督賞を受賞している──に活かされているのであろう。
僕が彼の作品を見たのは、ほとんど80年代のテレビでの再放送です。深く考えずにストーリーを追っていけば楽しめるという娯楽作品がたくさんありましたよね。まずは『ダーティーハリー』(1971)を挙げさせていただきましょう。この映画はかなりの人気を博したようで、結局『5』まで続きましたが、僕はやっぱり1作目がいちばん好きでしたね。作品の後半、連続殺人犯の「さそり」が通学バスを乗っ取って、「こーげこーげこーげよー、ボートこーげーよー、らんらんらんらん川下りー♪ さあ、みんな、もっと大きな声を出して歌うんだー!!」と言うあたりが実に牧歌的(?)で微笑ましかったですね。僕は何度見てもあの場面で大笑いしてしまうのだけれど、やはりあれは吹き替えで見ないと詰まらないです。1度ヴィデオを借りて見たのだけれど、あの場面を英語で聞いても全然面白くなかった。本来洋画は字幕で見るものだ、と思い込んでいた僕の固定観念を打ち破る記念碑的な(?)作品でしたね、あれは。
『ダーティーハリー2』(1973)についても、吹き替えに関するエピソードがあります。ハリーが悪徳警官グループに仲間にならないか、と誘われた時のハリーのセリフなんですが、僕が高校生の時は「俺が爆発しないうちに消えろ!!」──これは名セリフだった。次の日部活(サッカー部)ではそのセリフの話題で持ちきりで、みんなで真似して誰がいちばんそっくりか競っていた。馬鹿ばっかりだったんだなあ、俺も含めて──というものだったのに、先日僕がまたテレビの再放送で見た時には、「見損なってもらっちゃ困る」という穏やかなセリフに変わっていた。放映するテレビ局が違ったせいではないかと友人は言っていたが、ということはいちいち日本語吹き替えを作りなおすんですね。声優が変わってしまうこともあるのでしょう。イメージが変わってしまうんで、こういうのはできれば統一して欲しいですね(そう言えばクリント・イーストウッドの声は必ず故・山田康夫さんがやっていましたね。あれはハマリ役だった。イーストウッドとルパン3世が同じ声というのも、考えてみればちょっと変ですけど)。
その後、『ダーティーハリー3』(1976)もやはりテレビでした。で、次の『ガントレット』(1977)あたりから公私共にソンドラ・ロックとの二人三脚が始まります。『ダーティーファイター』(1978)、『ダーティーファイター/燃えよ鉄拳』(1980)。この2作品は、まあ楽しんで見ていられます。またテレビで再放送してくれるといいのですが。『ブロンコ・ビリー』(1980)は微笑ましい人情劇で、映画としても優れていると思うのだけれど。
そしてイーストウッドを初めて映画館で観たのが、『ダーティーハリー4』(1983)。この時のことについては、「キャリー・フィッシャー」のページに書かれていますので、そちらを参照して下さい。ソンドラ・ロックとのハーモニーもここまでですね。それから『タイトロープ』(1984)をヴィデオで見ました。『ダーティーハリー』シリーズとはまた一味違った刑事もので、爽快さがない分ちょっと暗いですが、けっこう面白いです。『ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場』(1986)は試写会で観ました。まあ、お手軽に楽しめる作品です。右上のポートレイトは、この映画の頃のものでしょう。
あとはまたしばらくヴィデオ観賞が続きます。『ダーティーハリー5』(1988)──冒頭で殺されるおバカなロック歌手は、この頃まだ無名だったジム・キャリーです──、『ピンク・キャデラック』(1989)、『ルーキー』(1990)──チャーリー・シーン演じる新人刑事を鍛える古参刑事の話。まあまあ、かな──、そして『許されざる者』(1992)。これは面白かった。僕はどうも西部劇が苦手で、名作と名高いあの『シェーン』でさえも楽しめなかったのだが、『許されざる者』は良かったです。見るだけの価値はじゅうぶんあります。
『パーフェクト・ワールド』(1993)は劇場に観に行ったのだけれど、イーストウッドの出番は少なめで、ストーリーも悪くはないけれど今ひとつ乗れなかった、というのが僕の本音です。ケヴィン・コスナーの腹が出ていたのにもちょっとがっかりだった。話題作『マディソン郡の橋』(1995)は、世間の評価は2つに別れたけれど、僕はわりと好意的に受け止めています。人生の折り返し地点を曲がった中年女性に扮するメリル・ストリープ──実は僕はこの女優はあまり好きではないのだけれど──の演技が秀逸だった。ラスト近く、雨の中立ち尽くすイーストウッドの水死体ワカメ頭はファンとしては非常に残念だったが、車のドアを開けようとして、しかし結局開けられずに涙ぐむメリル・ストリープのはかない姿には心を打たれた。イーストウッドにはあと10年早くこの役を演じて欲しかったところだ。
最近──と言ってももう1年くらい前だけど──『目撃』(1997)というのもヴィデオで見たが、たしかに作品としての質は高いし、面白くはあるのだが、昔からのファンとしては、1970年代の頃の一連の作品に代表される痛快アクション、または人情ドラマを見てみたいと思う。しかし、イーストウッドも来年で70歳(!)。叶わぬ夢と言わざるを得ないか?