アマンダ・ペイズ 

February 12,1988

アマンダ・ペイズの写真アマンダ・ペイズを初めて知ったのは、僕の家で友人とヴィデオ鑑賞会──というのはいささか大仰な表現かもしれない──を催した時のことである。友人2人とヴィデオ・レンタル・ショップに行き、何か面白そうなヴィデオはないかと捜し回ったわけだが、友人の1人、片桐君(彼はみんなから『片桐機長』と呼ばれていた。30代以上の人なら分かるでしょう。まあどうでもいいことだけれど)が、「これ、面白そうじゃないか?」と手に取ったのが、『コールド・ルーム』(1983)というタイトルの、何やら胡散臭そうなシロモノであった。B級というよりはむしろC級といった趣は、そのいかにも妖しげなパッケージ──はっきりとは憶えていないが、「ナチの亡霊がどーのこーの」とか何とか訳の分からない宣伝文句が書かれていたような気がする──からも一目で分かったので、僕と長谷川君はやめようと言ったのだが、片桐君は「いや、これは絶対面白いよ。当たりだよ。仏壇店の息子の俺が言うんだから間違いないよ」と強く主張するので、家の中で幽霊を見たことがあるという片桐君の言うことなら信用できなくもないし、「逆噴射」されても困るし、とまあそういったもろもろの事情で、結局そのヴィデオを借りて僕の家で見ることになった。

結果、僕たちはあまりの詰まらなさに絶句し、どのくらい詰まらないかといえば、説明するのは非常に困難だけれど、たとえて言うなら、『死霊の盆踊り』よりはマシだが『リターン・オブ・ザ・キラートマト』よりは落ちる、といった程度のものであろうか。怖くも何ともなく、ただ単に『詰まらなさ』といった人生最大の苦痛を与えられ続け、90分後、片桐機長は僕と長谷川君の冷たい視線を浴びることとなったわけだが、その映画の中で実父(?)にほとんど何の脈絡もなくレイプされる──どうしようもないストーリーだよな、ホント──美少女を演じていたのが、アマンダ・ペイズだったのだ。上の写真を見る限りでは『美少女』という感じはせず、むしろロデオでもやって暴れ馬を巧みに操りながら投げ縄でもしそうな雰囲気なのだが、とにかく『コールド・ルーム』の中の彼女は繊細な美少女だったわけで、僕の記憶の片隅に残っていた理由はそれ以外に考えられない。

数年後、僕は彼女を『リバイアサン』(1989)で発見することになる──自慢するわけではないが、僕は1度見た自分好みの女性の名前と顔は絶対忘れないという、稀有な能力を有していた──わけだが、これはまあ、深海の怪物モノで、映画じたいは特に詰まらなくもなければ面白くもないといった作品である。皆さんに借りてみて下さい、などとオススメできるシロモノではないので、借りない方がいいと思う。

以後、他の多くの俳優と同じように、彼女を見かけることはなくなったが、今でも僕は『コールド・ルーム』の彼女の魅力を忘れることができない。かといってあの詰まらないヴィデオをもう1度借りる勇気もなく、現在に至っている次第である。と思いきや、あの『Xファイル』シリーズで偶然彼女を見つけた。『XファイルEイヴ/炎』の、『炎』の中で、である(僕の記憶に間違いがなければ)。昔よりもぐっとソフィスティケイトされた美しい彼女の姿を見るのは嬉しい体験であった。今後もぜひ活躍してもらいたいものだ。



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